「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学」 読後書評集
皆様から頂いた読後感の1部を転記させて頂きました。
① 大変興味深く一気に読みました。難しい現象学を易しく解説した内容は稀にみる素晴らしい入門書だと思いました。 また貴兄のイラストも心暖まるものでした。 サブタイトルにあるように絵と文で楽しく学びました。 (wさま)
② 難解なんじゃないかなと読み進みました。今迄の人生で解っていたつもりの相手の立場・逆転の心理・見方等など文字を通し学問として知り得たことにビックリこれからの生活に心して暮らさねばと思いつつ「現生楽」の文字に辿りつき一気に解放されました。保育にたづさわる長女に勧めます。ところで本の贈呈を受けた方はきっと負担に思いますかと思います。従って 皆さんへの本の贈呈は有難迷惑になるかも知れませんよ。私は友人に図書館で この本=「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学」を新刊予約して下さることを頼んでいます。この運動を全国図書館に広げられると良いですね。 (aさま)
③ 私は自由時間のゆとりがなく追われております。ご本のほうは、パラリと見せていただいただけで、哲学〓と言った感じで、でも貴方様のお父様が漫画を書いておられた事をファイルを見て知り、西川様が絵を描かれるわけが判ったような気がしました。良い趣味をお持ちだと尊敬しております。 (kさま)
④ 物事を見る角度によっていろいろな現象や思いなど、漢字には仮名がふってあり昔からのことわざなども面白くて意外と分かりやすい説明でした。言葉の綾とか視点論点は智慧の輪のように思います。良くも悪くも考える人次第と思いますが人生を楽しく過ごすには良い現象を見ることなのでしょうね。私自身はそのように感じました。
(yさま)
⑤ 現象学の本 ボケ防止の積りでこれから読んでみます。(nさま)
⑥ 自分の立場から見える事だけを「真」とし、他を「誤」と決め付けると、他民族を殺したり偶像を破壊するイスラム圏のテロ集団の様になってしまう。そういう昨今の現実を見ていると、貴兄が言う「現象学は民主主義を深めるものですね」という言葉が重く心に響いてきます。
(Yさま)
⑪ 「大人と子供の現象学」(吉田章宏著・西川尚武絵)読ませていただきました
○ 購入して良かったです! 推奨、ありがとうございます
○ 貴兄が知人に無償配布してでも、読んでほしいの想いも理解できる労作書籍(?)です取りあえず、お礼の一報です(mさま)
⑬ 一昨日、「現象学」の図書受け取りました。難しい様でしたが、早速本を開きました・・・そしてP57の「今度はマッチ棒のクイズ」まで、一気に拝読しました。やっと昔懐かしいクイズに出会った心境でした・・・難しい話が多いでしょうが、読み進めてみます・・・貴兄のイラスト、素敵ですね。風景画の素晴らしさは、存じ上げておりましたが・・・こんなイラストもお書きになるとは、驚きです・・・末筆になりますが、図書をお送り頂き心より御礼申し上げます。(C.さま)
⑭ 年賀状で予告していただいたので、時々行く大阪倶楽部の図書室で百科事典の現象学の解説をコピーして読みましたが、あまりよくはわかりませんでした。
フッサールという名前は見たことがあるような気もするが内容は記憶なし。我々技術屋とはあまり接点のない分野のことかと考えていました。今回、貴共著を拝読して、よく分かりました。
「現象学を学ぶには、まずこれだけは理解しておけ」と、要点のみを繰り返し説明されており、まことに見事な、よく工夫された解説だと思いました。これを読んでから百科事典を読めばもう少し良く判ったかと思いました。今後、現象学を学ぶ大人や子どもには大変有効な手引きになると考えます。「立場を変えると、いろいろ別な姿・かたちが見える」ということは、貴重な教訓でした。貴兄のイラストは豊富に掲載されており、この本を読みやすく、親しみやすくし、また理解するのに大いに役立っていると思いました。 (Kさま)
⑮ 現象学の本、贈って頂きありがとうございました。いろいろ感じるところがあり、勉強になりました。挿絵は日頃の絵心がそのままに力まずさらっと描いてあり、感心しました。お父さんが漫画家だったとは驚きで、またふつふつとその血がたぎっていたんだなあ、と今更ながら思います。ますますお励み下さい。
さて、読み始めて、いきなり「はじめに」のところの2行目に「哲学」という字が目に入ってきて、「オオッっ」と一瞬身構えました。 ・・・中略・・「現象学する」との記述がありましたが、音楽には「音楽する」(Musizieren)という言葉があります。そのこころは技術的なことでなく「音楽する心の持ち方」ですので、プロアマの隔てはありません。「現象学をする心」も物事を多面的に見る姿勢が求められているようですので、今後も「一生一書生」のマインドで人生を過ごしたいと思います。
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⑱「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学」に寄せられた書評と現象学のこと
西川尚武
Dr吉田曰く「次の国際学会で子どもの為の現象学の絵本を発表したい。文章は私が英文で書く。西川さんは、子どもに判る簡単な挿絵を描いて欲しい」。前年秋に息子夫婦、吉田夫婦と小生、家族5名でチェコ・ハルシュタット・ザルツブルグ・ミュンヘンを2週間家族旅行し、途上小生の旅スケッチを横目で見ておられ「一緒に絵本を作ってみよう」と思いつかれたという。やがて英文で書かれた膨大な原稿が送られたてきて、自分はせっせと挿絵を描いた。秋にはモントリオール・ケベック大学で開かれた人間科学研究国際学会でパワーポイント スライドを用いて発表、参加者に大きな感銘を与えた。
早速、 日本の現象学哲学者竹田青嗣氏、西研氏は幾つかの日本の出版社に絵本発行の企画に奔走されたが、現象学の絵本なんて、売れる見込みはないと、日本の出版社は首を縦に振らなかった。Dr吉田は、とうとう私費出版に踏み切った。「僕にも少しは出版費を負担させて下さいよ」と何度も申しでたが、Dr吉田はいつも笑いながら、「いや、この出版費を貴方に手伝って貰うわけにはいかない」と強く辞退された。初版は1000冊ほど印刷した。僕も本のPRに努めている。マスコミは、こんな小さな本の発行などには目もくれない。今までどの新聞にも書評は発表されていない。
僕は多くの友人に手紙を出し、是非近くの図書館新刊購入にこの本を指名してもらえないかと依頼している。本を手にした友人達から読後感を何通も頂いた。読後感は、早速自分のホームページにも載せ続けている。「ボケ防止の為に読んでみた。現象学など今まで聞いたことも無かった。開いてみたら、哲学だと知ってビックリした。全文振り仮名が付けられていて、これなら子どもでも読めるね。読み始めると意外に身近なことを判り易く書いてあるのでビックリした。挿絵も素直で好感がもてる。要するに、物の観方として、自分の立場を離れ、他人の立場に立って、見つめなおせば、きっと新しい考え方が開けてくると著者は言っている。現象学とは易しく言えばこういうことなのかね。「いじめ問題」や「お化け煙突」の話しなども出てきてなかなか面白いじゃないか。これなら孫たちにもぜひ読ませてやりたいよ。」皆さんから頂いた読後感を要約すると大体こんなことになります。
しかし、読者の中には、さすが厳しい目を持った技術者としての大先輩もみえる。
「p56の図面、□で△で○の問題」。図や絵で表現する限りはこれでよいが、寸法を考慮すれば、正方形と正三角形を同時に形成するには、寸法の制約がある。この大先輩がご指摘の如く正方形と正三角形を同時に形成することは出来ません。あくまで、ポンチ絵の世界だけで成立する□で△で○の問題です。厳密を旨とする現象学で、厳密な技術的整合性がとれていない図面を真面目な顔をして挿絵として載せていてごめんなさい。
ご指摘は更に続く。「p82、これは天井からみた図になっていない」ご指摘者は私と同じ技術士グループに所属する90歳を越された大先輩、「p82 上下に引いてある細い線は、技術的に意味がない」。「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学」をお持ちの方々、今一度p82を開いて、ご指摘の箇所をもう一度ご自分でチェックしてみて下さい。あなたはこの箇所をどのようにお読みになりましたか。p82を読んで、どんな疑問をお持ちになりましたか。私は 自分のホームページにこのご指摘に関して、詳細な自分なりの弁明を図面を用いてリリースしました。(www.eva.hi-ho.ne.jp/nishikawasan/)、是非一度私のホームページを皆様にも読んで頂きたいとお願い申し上げます
貴方はこの本を開いて冒頭で主人公が先ず魔法の衣装を着せられて、洞窟の中に侵入していくところからビックリされたでしょう。これが現象学の根本という現象学的還元を意味していることに気付かれましたか。そして突然、金子みすずさんの詩、「昼のお星は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ。見えぬものでもあるんだよ」。続いて、サン・テクジュベリの星の王子様の言葉、「心で見なくちゃものごとは良く見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」。これらの心に響く言葉に始まって、現象学って一体何と?と読者は誘われていきます。著者のDr吉田はこの本を是非これから成長していく少年少女に読んで頂きたいと切望しています。Dr吉田は少年少女から寄せられる読後感にはいつも真剣になって、何度何度も読み返し感動しておられます。少年・少女の皆様、是非、率直な読後感をお寄せ下さい。お待ちしています。。
私は、この本の発行をお手伝いして あらためて現象学のエッセンスに迫り Dr吉田の「絵と文で楽しく学ぶ大人と子どもの現象学」こそ、誰にも現象学とはどういうものか判り易く、大変面白く書かれていることを再認識し、著者の現象学的心理学者としての 学問的探求の鋭さに深く敬意を表しています。著者は常に申しております。自分は教育心理学者として、本も書いてきたし、研究もしてきた。
しかし、心理学をどこまで学んでも「人間」は掴めないと苦しんでいた頃、偶然ある機会に神谷美恵子さまの「生きがいについて」を読み、この本には「人間」が書かれていると知り 40歳の自分は大きな衝撃を受けた。「人間」を掴もうとすれば、現象学的心理学こそが一番優れている。戦後 長く学んできた弁証法的唯物論に基づく実証心理学に比較して、現象学的心理学は確かに陽が当たらない研究分野ではあるが、{人間を知りたい自分」は現象学的心理学を生涯のテーマにしたいと。
私はいつもDr吉田に質問します。「現象学って、フッサールが主張した観念論でしょう。観念論は世の中をいろいろと解釈はしたが、マルクスは墓銘碑でも観念論を否定していますね?」。Dr吉田は、「私は現象学的心理学者であって、現象学的哲学者ではありません。しかし唯物論と観念論は、どうしてそんなに対立するのでしょうか。唯物論に基づく実証心理学によって、「人間」はまだまだ深く正しく捉えられていません。私が、今 一番学びたいのは「人間」です。人間の心理の奥底を正しく把握出来るのは現象学的心理学こそが一番優れているのです。
まだ、この本をお読みになっていない皆様、是非一度この本(絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学 文芸社発行1300円)を読んで現象学的心理学の世界を知って下さい。 そして、私のホームページ(www.eva.hi-ho.ne.jp/nishikawasan/)も覗いてみてこのテーマを一緒に考えてみて下さい。
( 2015年 6月 6日 西川尚武が書きました)
1:刈谷高校3年の娘の子ども:今までにお祖父さんより提供のあった本の中で一番興味を感じた。現象学が自分にとって身近で切実な問題に迫る学問と感じた。
2:海陽学園中学2年(息子のこども) 面白い・心の内面から幸せを感じることが出来た。 ( 本人の希望で この本を贈呈することにした。 )
3:金城1年(娘の子ども) 挿絵が素晴らしい、4p・6p・7p・9p・12p・16p他 この為に 本文が楽しく読むことが出来た。
最後に祖父である私の感想: 大人から子どもまで楽しく学び、現象学とは物事の本質に迫る 素晴らしい学問で素晴らしい挿絵と 面白く判り易い本文で(仮名添付も素晴らしい)3代(私たち、息子娘たち、孫たち)にわたり、心の内面から幸せを感じ取れる機会を提供戴いた素晴らしい読本です。有難う御座いました。 (Hさま)
●21 現象学とは、ごく普通の日常生活を過ごす上での物の考え方である事に気付かされました。物事は一方向からだけではなく、色々な見方が出来る。色々な風に見えるという事を、当たり前なのだけれど、学ばせて頂きました。最後まで諦めずに読み進むことが出来たのは、貴殿のユーモアある絵・カットがあったからでした。吉田先生が ”ぼくがいじめられていたときは”は興味深く読みました。また先生が現象学に導かれたキッカケとなった「神谷美恵子さんの生きがいについて」を私も読んでみたいと思いました。 (Aさま)
●22 『大人と子どもの現象學』ありがとうございました。久しぶりにあらためて現象学に向き合う機会をあたえられました。これがどこまで「子ども」向けかは正直疑問に思いましたが、面白い現象学の入門書になっていると思います。
西川さんが訪れた世界遺産は180箇所になるのですね。わたしはパリのセーヌ河畔とモン・サン・ミシェルの2箇所くらいしか知りません。どうぞお元気でご活躍ください。(k先生からのメール)
メール有難うございました。現象学は観念論、観念論は矢張り否定されるべきものとお考えでしょうか?
(西川の返信)
メール有難うございます。現象学は観念論、観念論は矢張り否定されるべきものでしょうかという貴方からの問い。 難しいことですが、わたしは観念論を一概に否定すべきだとは思っていません。考えることの、あるいは人間であることの機微を唯物論よりも観念論の方が教えてくれることが多いと感じているからです。21世紀の哲学のあり方という視点に立ったとき、観念論の立場の人たち(そう自覚している人は少なくなっています)がもっと人間の歴史的、社会的側面に目を向けてくれたらと思います。だからといって現在の唯物論が満足したものかというとこれも微妙で、とくにマルクス主義哲学は、今、かつての「マルクス=レーニン主義」といわれたスターリン主義からの脱却を図りながら、新たに「マルクス主義哲学」の再生過程にあると思います。ただ従来の「教科書」形体系からの離脱はなかなかに難しいようです。
ちょっと評論家風に書いてしまいましたが、わたしはエンゲルスが『フォイエルバッハ論』で述べている、唯物論の立場とは、唯物論か、観念論か迷ったら、唯物論的に考えるという決断なのだという言い方が好きです。
まだまだ勉強することがたくさんあります。西川さんよりも10歳も若いのだから、もう少しはやれることがあると思って、わたしも頑張ります。(k先生からのメール返信)
●23 連休前に御本を買わせて頂きました。丸善で頼みましたら児童書とか言われ、一瞬ハッとしましたけどとても読みやすく、特に挿絵が楽しみな1p、1pでした。目新しい事ばかり・・・偉そうな事を言わせて頂けば、珍しいお話の中で妙に「そうだ、そうだ」と納得したり・・・千住のお化けエントツは懐かしい!!よく友人とアーダコーダと言いました。潮干狩には両国集合で幕張あたりに行きましたものね。著者の吉田先生も東京のお生まれ、そうそう私より2年下だと都立1中が日比谷高校になったのでしたね。いろいろと懐かしく思い出します。「現象学」というお言葉も始めて聞かせて頂いたわけでしたが・・・気安く楽しく読ませて頂き、スケッチなどもゆっくり見せて頂き有難うございました。 (Yさま)
●24 「現象学」の図書、読み終えました。正に、人間学だと感じました・・・人間学の定義は小生独自の感覚です・・・(強いて言えば、どうしても解明できないのが人間の存在・思考・etc)
巻末の「ありがとう」を拝読させて頂き、著者(吉田さん)のお考えを少しは理解できたように思います・・・(iさま)
●25 刈谷のどこの本屋に出かけてもこの本は見つけられず、1週間ほど前に、名古屋の丸善でやっと購入することが出来ました。先ず、著者の幅広い豊かな知見に驚かされました。小生にとって身近な宗洞宗の先達たちの教えも良くご存知で、哲学者は宗教にも深く通じてみえるのだなあと感心しています。私は引退後、子どもたちを育成する発明クラブに長くお世話になりましたが、そこで発行している機関紙には、子どもたちを啓発する知能トレーニング問題を連載していましたが、丁度そこで掲載していた問題と同じ出題がこの本にも沢山載っていて、びっくりしました。この連載を書いていたのは私で、私の筆名は偶然にも求道求童でした。(Sさま)
●26 昔Dr吉田の学生さんで、今は大学の先生をされているある同僚からこんな便りを頂きましたとのこと。これは私信の一部ですが、この読後感ページにご本人には無断で掲載させて頂きました。
小学校3年生の息子さんと、夜寝る前に、この本を読んでいるのだそうです。息子さんがたいそう気に入って、「現象学読もう!」というのだそうです。「ぼくは学校の勉強はあまり好きじゃないけど、現象学は好きだ」とも言ったそうです。そして、息子と読むことを通して、この本のすごさが、何倍にもふくらんでいること、また、この本を一緒に読むことによって、これまで気づかなかった息子さんの一面を発見したこと、を同僚は話してくれました。
●27 フッサールの現象学には以前から関心はありましたが、難解で近づけないと諦めていました。4月早速アマゾン通販に申し込みましたが、本到着まで2週間以上もかかりました。どうしてでしょうね。
この春、80歳になって初めて広島原爆記念館に行きました。原爆の悲惨さは壮絶でした。一体この地獄の責任は誰にあるのか、激しく自分に問い詰めました。あの当時、日本人全てが戦争のことだけを考えて、何もかも目を閉じていました。もし、当時の日本人が、現象学をきちんと学んでいたら、日本人は戦争に黙従していなかったと思うと、残念でなりません。この本はそんな気持ちで読んでいます。(技術士グループのSさんの述戒)
●28 現象学的心理学って何、いつも考えています。
現象学は哲学の1つです。現象学的心理学の対象は、人間という名がついた物体ではなく、生きている人間を、人間の意識を対象としていると強調しています。人間は質的な存在です。現象学的心理学は、厳密な仕方で、意識を研究することだと宣言しています。
現象学は1つの哲学です。現象学的心理学とは、現象学に基づいて心理学する1つの態度であって、理論的体系ではないようです。米国の有名な心理学者 Drアメデオ・ジオルジーの「心理学における現象学的アプローチ」を読んでみても、そう感じました。
いかなる偏見や仮定にもとらわれることがなく、経験そのものを質的に記述し、人間を全体として理解しようとする態度であり、心理学の研究対象を行動に限定するというより、むしろ生きがいとか、愛、老い等 人間、しかも人間の意識を研究、分析することにつとめています。
Dr吉田は、孤独、嫉妬、怒り、許し 等、目には見えない「自分と世界」を想像力豊かに、丁寧に見つめ、学ぶことだとこの本でも書いておられます。Drジオルジーと同じ姿勢です。アプローチが大切だと思います。
例えば 前提示したSさまの述戒は、広島原爆記念館に立って、この悲惨さは一体だれの責任であったのか、激しい怒りを感じ、当時の日本人全てが、戦争に盲従し日本国民すべてがあの戦争を疑うことをしなかった歴史に涙しておられます。
Sさんが言われるように、人々の中で、もし現象学的心理学を学んでいた人がいたとしたなら、きっと盲従、妄信の日本人民の意識に疑問を投げかけ、自分と世界を見直すきっかけを与えることが出来たのではないかとつぶやいておられます。
この本の冒頭で、主人公は白いマントと赤い靴をはいて、トンネルの中に入っていきます。トンネルから出てきた主人公には、「物事は心の目で見なくてはいけない」と悟りを開いています。これこそが、現象学の中で一番難解と指摘されている現象学的還元のまなこだと思います。現象学的心理学とはこういうことだと思っています。(2014.6.20 西川が書きました。)
●29 本読みました。難しい現象学についてわかり易く説明されているので理解することが出来ました。いろいろな経験をしている大人より,中学、高校、大学生の方がもっと役に立つと思います。挿絵は漫画家の父上の影響を受けておられるのでしょうか。面白かった。(kさま)
●30 早速八幡市の図書館に新刊購入の申し込みをしましたところ、昨日図書館から電話があり借りてきて一気に読みました。現在は高校生の孫娘が小学校低学年の頃、挿絵のような絵を描いて私に謎かけをしてきたのを記憶しています。この本は、最初は小学生を対象に話を始められ、次第に大人を対象にした話に移転していく構成になっており、現象学という学問を全く知らない私にとっては読みやすい本でした。西川さんの挿絵も適所に挿入されて分かり易かったです。(Oさま)
●31 物をみるときに、自分の立場に立って一面的に見るのではなく、いろいろな立場に立ってあらゆる方向から見る、考えることが大切だというのが、一貫して説かれているのだと思います。○、△、□の話、トンネルの入り口と出口の話、お化け煙突の話、子どもにもよく分かり、大人にも面白いお話ですね。私は若い頃しばらく高校に勤めていました。子どもができてから振り返ると、保護者の皆さんのお気持ちはわからなかったなあと感じました。老年になって当時の同僚と集まったとき、異句同音に言ったことは、記憶力や理解力の衰えた今は、成績の悪い子の気持ちがよく分かる、今ならもっといい先生になれるということでした。若い時にいろいろな立場に立って考えることは、誰にとっても難しいことでしょうね。現象学的教育学、現象学的心理学が大切だと思います。 (Sさま)
●32 懐かしかったのは、お化け煙突です。私はお化け煙突が車窓から見える常磐線沿線に住んでいました。電車に乗ると、いつも煙突が4本から3本、2本、1本になってしまう現象を楽しみました。その煙突が1964年に消失したことを、この本で初めて知り驚きました。その後 自分の成長でお化け煙突よりも沿線の発展に心奪われ、車窓から煙突が見えていても心の中に届かず、見えなくなってしまったのでしょうね。
現象学は、新しい思考形態を生み出す創造活動の根幹として、更なる発展を期待します。(yさま)
●33
「ひとたび、生きがいを失ったらどんな風にしてまた新しい生きがいを見いだすのだろうか。人の心の世界はそれぞれ違うのであるから、たった一人の人にさえ、生きがいを与えるということは、なかなか出来るものではない。」「人間の生きがいというような奥深い問題を探求する上で意味のあるものは、機械的調査のあらい網の目から漏れてしまうようなもののなかにふくまれている」
これは神谷美恵子の らい病隔離患者心理を探求した「生きがいについて」の冒頭の1節である。
ロンドンで見たマルクスの墓標には「観念論哲学者は世界をいろいろと解釈した。しかし大切なことは、社会を変革することだ」と掘り込まれている。マルクスの目からすれば、観念論は人生解釈に過ぎないのかも知れない。その為か 体系的な論理学、弁証法的唯物論哲学を信奉する友人は、この本「絵と文で楽しく学ぶ大人と子どもの現象学」の素晴らしさを素直に褒めてくれる人は少ない。
しかし、友人の中にはこんな書評を寄せてくれる人もいる。
「わたしは観念論を一概に否定すべきだとは思っていません。考えることの、あるいは人間であることの機微は唯物論よりも観念論の方が教えてくれることが多いと感じています」。
フッサールの現象学は常に最初の思考から再考することを常に重ねてきたが、唯物論、特にマルクス主義は確立された膨大な論理体系を真理として再考はおろか、別の視点から見直すことは決して許さなかった。
Dr吉田章宏が文を書き、西川尚武が挿絵を描かせて頂いた、「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学」文芸社(1300円)を発行したのは、2015年4月。巷では1日500冊もの新本が発行される一方、若者の活字離れはますます深刻化し、本のPRも今では簡単ではない。
著者Dr吉田章宏は日比谷ー東大を成績高順位で通り抜け、何度かの海外留学の後、東大教育学部にて実証心理学を教えてこられたが、40歳のある日、神谷美恵子著「生きがいについて」を手にし、ご自分の学問的方向に大きな疑問を抱かれた。
自分は実証心理学ではなく現象学的心理学の道を進まなければ 人間の心の奥底を正しく把握できないのではないかと確信し、弁証法的唯物論からフッサールの説く現象学=観念論へと転向を決意された。神谷美恵子は、現象学的心理学の立場から らい病で苦しむ人々の心の奥底を正しく把握し 「生きがいについて」をまとめ上げ、心理学の世界を大きく拡げられた。
私、西川尚武は、この度「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学」を通して、改めてみすず書房刊 神谷美恵子全集を読み直し、現象学的心理学によって人間の心の奥底は如何に広く深く把握することができるのかを、77歳にして少しずつ教えられている。
Dr吉田は、小中学生からの読書感想文を何よりも喜んで再読される。矢張り、本当の教育者だと思う。「東大理一」に進みながら、「自分が学びたいのは科学ではなく、人間だ」と気付き、教育学部に転向、東大卒業時には茅誠司総長の前で、卒業生総代の答辞を読まれたという学究の徒であり、今も人間について深く探求する心理学者であもある。
(2015・7・9 西川尚武 記)
僕が、Dr吉田章宏から「是非読んでごらん」と推薦を受けた図書
(なお、「絵と文で楽しく学ぶ大人と子どもの現象学」巻末には、
この他 多数の推薦図書が記載されています。是非ご参考になさって下さい)
神谷美恵子著 1966年 「生きがいについて」 みすず書房
吉田章宏著 1996年 「子どもと出会う」 岩波書店
竹田青嗣著 1989年 「現象学入門」 NHKブックス
竹田青嗣著 2012年 「フッサール「現象学の理念」 講談社選書メチエ
キーン、E著 1989年 吉田章宏・宮崎清孝訳 「現象学的心理学」東京大学出版会
ジオルジ、アメデオ著 2013年 吉田章宏著 「心理学における現象学的アプローチ」
渡辺二郎著、1978年 「内面性の現象学」勁草書房
フッサール・エドムンド著 1975年 長谷川宏訳「経験と判断」河出書房新社
金子みすず作 2011年 彩国社 「金子みすず名詞集」
サン=テクジュペリ著 2011年 内藤 濯訳 「星の王子さま」 岩波書店
パスカル・フレーズ著 1978年 前田陽一訳 「パスカル:パンセ小品集」
中 勘助著 1935年 「銀の匙」
●34
連日の猛暑、体調は如何ですか。
その後、ご無沙汰しております。
吉田章宏様文 西川尚武様絵の「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学」
の読後感の連絡が遅れて申し訳ありません。
貴兄のユーモラスな挿絵が、吉田章宏先生の難解な哲学的思考である現象学の理解を助けていると率直に感銘を受けました。
「フッサールの現象学」の解説を再読し、難解な哲学的思考を復習致しました。
子供の理解を助けるための解説文の「振り仮名」は大人への煩雑感はありますが、子供が単独で現象学を理解把握
改めて、貴兄の素晴らしい画才に敬意を表します。(Tさま)
●35
JTCCインフォメーション 2015年 12月号
(日本繊維技術士センター会誌 第634号 平成27年12月5日発行)
「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの 現象学」 に 寄せられた鋭いご質問と私の弁明
西川尚武
思えば3年前 Dr.吉田と 新年恒例のSKYPE挨拶を始めていた。 Dr.吉田曰く 「次の国際現象学学会で子どもの為の現象学の絵本を発表したい。文章は私が英文で書く。西川さんは、子どもに判る簡単な挿絵を描いて欲しい。」Dr.吉田とは、前年秋に吉田ご夫婦・次男夫婦そして私と合計5名でチェコ・ハルシュタット・ザルツブルグ・ミュンヘンを2週間家族旅行し、途上小生の旅スケッチを横目で見ておられ、「よし、一緒に絵本を作ってみよう」と思いつかれたという。
やがて夏になり、英文で書かれた膨大な原稿が送られてきて、自分はせっせと挿絵を描いた。秋にはモントリオールで開かれた国際現象学学会で発表、参加者に大きな感銘を与えた。日本の現象学哲学者 竹田青嗣氏・西研氏は早速幾つかの日本の出版社に絵本発行の企画に奔走された。しかし、現象学の絵本なんて、売れる見込みがないと、日本の出版社は首を縦に振らなかった。Dr.吉田はとうとう自費出版に踏み切った。「僕にも少しは出版費を負担させて下さいよ」と何度も申し出たが、Dr.吉田はいつも笑いながら、「いやこの出版費を貴方に手伝って貰うわけにはいかない。」と強く辞退された。初版は1000冊ほど印刷した。僕も本のPRに努めた。マスコミはこんな小さな本の発行などには目もくれない。今までどの新聞にも書評は発表されていない。
自分は多くの友達に手紙を出し、是非近くの図書館に新刊購入の申請をしてもらえないかと依頼している。本を手にした友人達から読後感を何通も頂いた。読後感は早速自分のホームページに載せ続けている。「ボケ防止のつもりで読んでみた。現象学など今まで聞いたことも無かった、開いてみたら、哲学だと知ってビックリした。全文振り仮名が付けられていて、これなら子どもでも読める。読み始めると意外に身近なことを判り易く書いてあるのでビックリした。挿絵も素直で好感がもてる。要するに、物の観方として、自分の立場を離れ、他人の立場に立って、見つめ直せば、きっと新しい道が開けてくると著者は言っている。現象学とは易しく言えばこういうことかね。なかなか面白いではないか。これなら孫達にも読ませてやりたいよ。」皆さんから頂いた読後感を要約すると大体こんなところになります。
しかし、読者の中には、さすが厳しい目を持った技術者としての大先輩もみえる。「P56の図面、□で△で○の問題」。図や絵で表現する限りはこれでよいが、寸法を考慮すれば、正方形や正三角形を形成するには、寸法の制約がある。文章の記述では、この「円筒を2枚の平面(詳しく言えば、上面の直径ABと下面のそれに直交する直径の両端PまたはQとで決定される2枚の平面)で切断した物体を作図せよ」ということになる。そして円の直径の長さを2としたとき、円筒の高さを2とすると、立面図は正方形になるが、側面図は正三角形にはならない。高さを√3=1.732とすると側面図は正三角形になるが立面図は横長の長方形になる。正方形と正三角形を同時に実現するケースはない。
大先輩がご指摘の通り正方形と正三角形を同時に実現することは出来ません。あくまで、ポンチ絵のみで成立する□で△で○の問題です。技術的知見を考慮し、整合性のとれている図面を描けなくてごめんなさい。大先輩の目は鋭いです。
ご指摘は更に続く。「次の2題にイラストを描いた西川君に弁明を求めたい」と迫られる。「P82,これは天井からみた図になっていない。」ご指摘者は同じ技術士会JTCCの大先輩、実に厳しい。「P82上下に引いてある細い線は、技術的に意味がない」。ご指摘者はかって、私の上司、技術担当重役であり、我々の技術能力に常に鋭い目を光らせておられ、ご出身は確か東京帝大の化学だったと記憶しています。今や90歳のご高齢であられるが、大先輩の目はまことに鋭い。
「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学」をお持ちの方々、今一度、P82を開いて、ご指摘の箇所をもう一度ご自分でチェックしてみて下さい。あなたはこの箇所をどのようにお読みになりましたか。P82を読んでどんな疑問をお持ちになりましたか。実は私も現役時代 東洋紡から豊田自動織機に転職、繊維機械技術部 受注設計第1課長として10年間以上勤めさせて頂いた技術者の仲間です。図面の間違いを指摘されたら、ご指摘にきちんとお答えすべき責任があります。このご指摘から逃げることなど、絶対に許されません。
私は自分のホームページにこのご指摘に関して、詳細な自分なりの弁明を書いてリリースしました。是非一度皆さまにも読んで頂きたいとお願い申し上げます。
私はホームページに自分の弁明を書きながら、あらためてこの本が現象学のエッセンスに迫り、誰にも判り易く、大変面白く書かれていることを再認識し、著者の現象学的心理学者としての学問的探求の鋭さに深く敬意を表します。著者は常に申しております。「自分は教育心理学者として、本も書いてきたし、研究もしてきた。しかし、人間の奥深い心理を、60年前 神谷美恵子さまは現象学的心理学者の立場に立って「生きがいについて」を書かれベストセラーになり、40歳であった自分は、これを読んで大きな衝撃を受けた。人間の心理を掴もうとすれば、現象学的心理学こそが一番優れているとその時初めて悟った」と。
私はいつも申し上げています。「現象学ってフッサールが主張した観念論でしょう。確かマルクスは ドイツイデオロギーの中で 観念論は世の中をいろいろと解釈はしたが、唯物論と対比して観念論を否定されていませんか?」 Dr.吉田は、「私は現象学的心理学者であって、現象学的哲学者ではありません。しかし、唯物論と観念論は、基本的に対立すべきものでしょうか?唯物論に基ずく実証学的心理学で、人間の心理の奥底はまだまだ正しく捉えられていません。私が一番学びたいのは「人間」です。人間の心理の奥底を正しく把握できるのは現象学的心理学こそが、現在一番我々の身近にあると考えています。
まだ、この本をお読みになっていない皆様、是非一度この本「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学 文芸社発行 1300円」を読んで下さい。そして私のホームページも覗いてみてこのテーマを一緒に考えてみて下さい。 以上
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「絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの 現象学 」 を読んで
(前略)
本の感想を申し上げます。
現象学は幸せになるための学問という位置づけに参りました、難行苦行ばかりでしたが易行動という歩みについて目が開かれました。本には先生のウェブサイト情報が書かれていました。
鬱と喘息に歩みが阻まれながらも、現職が与えられていることは大きな恵みであると感じる日々で、愚かさゆえ書けない論文が書けたときの楽しさが忘れられず、生かされていることを感謝しております。
ご無沙汰には理由があります。時を待っておりました。どんな時かもわからず時を待っていました。「現象学という哲学の絵本」が出版され、私がこの絵本を読了した時が、20年にわたり待っていた時なのだと教えられたように存じます。
この絵本は私をあきさせません。繰り返し読ませて頂き、この絵本から繰り返し教わります。この絵本は学ぶことへの勇気を示してくれます。
誠にありがたいことです。この絵本のご出版を心からお祝い申し上げます。
(筆者は 吉田章宏先生の 東大時代の 教え子であり、 現在 某国立大学教授)
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「アマゾン」に 投稿されている
「絵と文で 楽しく学ぶ 大人と子どもの 現象学」 読後感
投稿者 半伽思惟 投稿日 2018/8/23
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