スケッチブックを持って「街道を行く」  その7 札幌


札幌北海道庁旧本庁舎の赤レンガ

定年後、何処に住みたいか、多くのサラリーマンが「札幌」を主力候補に挙げる。憧れの「札幌」を訪れたのは、200410月下旬、すでに道南の秋は、哀愁さえ帯びていた。

司馬さんは、「街道を行く: 北海道の諸道:15巻」で書いておられる。「北海道の空は大きい」。レンガ造りの建物には気品がある。トヨタ「産業技術記念館」創設の企画でも、レンガが明治を象徴しているとしてレンガ造りに最後までこだわった記憶がある。北海道庁旧本庁舎のレンガ造りも明治の歴史そのものの象徴だと思った。

札幌時計台の鐘の音

札幌は北海道開拓の原点。ここには欧米先進文明移入の大きな夢があった。その中心に札幌農学校があり、屯田兵制があった。

かっては4キロ四方に響きわたったという時計台の鐘も、今では道路騒音の為、真下の交差点でスケッチしていても、聞き取り辛かった。日本最古の塔時計には、
北海道開拓原点としての気品と情熱がこめられている。もう一度、先人達の苦労をこの鐘の音を通じて忍びたいものだ。



中島公園にたたずむ豊平館

日本と西欧の建築様式を巧みに調和させたこの建物に近似する建築様式を道南あちこちで見た。

函館の旧函館区公会堂、江差の旧檜山爾志郡役所等洋風建築には、欧米先進文明導入に対する先人達の華麗なる情熱が忍ばれる。また北海道では何処に行っても有島武郎が、石川啄木が、小林多喜二が、伊藤整が大切にされている。さすが歴史と風土を大切にする北海道だと敬服する。


偉大なる北大総合博物館

北海道の象徴、北大ポプラ並木が壊滅的に破壊された。北大植物園も巨木が倒壊したまま閉館中。北大キャンパス紅葉の下を学生達は自転車で走る。広大な北大キャンパスでは自転車が必須。

このキャンパスの中に北大総合博物館がある。ここの展示は格調高い。ウサギの耳にタールをぬってガン研究史に不滅の業績を残した市川厚一博士も北大先輩だと総合博物館の展示で知った。

紅葉の中に北大古河記念講堂

北大学生に聞いてみた。「君達 雪が積もったら自転車に乗れないだろう。こんな広大なキャンパスをどうやって移動するの」。「良く見て下さいよ。僕たちママチャリではないですよ。冬の為にマウンテンバイクを買うのです」。

「ところで、君達が一番美味いラーメン屋とは何処」「一国堂ですよ」。早速一国堂へ行ってみた。入ったとたん、“こってり”と“さっぱり”をもじって“こっさり”という文字が目に入った。

荒廃した北大ポプラ並木道は工事中 洒落たセンスのJR札幌駅 三井財閥から買った知事公館 見事な中島公園の紅葉

以上  2004年10月28日 記

ここをクリックして頂くと 表紙に戻れます