初めてのヨーロッパ海外出張


「豊田産業技術記念館」は、どのような博物館であるべきか、先ずヨーロッパの博物館を見学すべきであろうということになり、1991年産業革命発祥の地 英国を始め、フランス、ドイツ、イタリア、スイスの博物館を約1ヵ月間かけて調査することになった。

私にとって、ヨーロッパは始めての地であり、担当重役と3人での出張、緊張の毎日だったが、こうして、ヨーロッパ35箇所の博物館を見学し、動態展示の面白さや意味もしっかりと学び、今日の産業技術記念館の博物館展示に生かすことが出来たのは嬉しい。


私はこの旅行中、次ぎのテーマを常に考え続けていた。

1、何故、産業革命は 英国マンチェスターに勃発したのか。何故、羊毛産業ではなく、綿産業から勃発したのか。

2、大英帝国は「世界の工場」にまで発展したが、その陰にどんな物語があったのか。

3、日本は英国から紡績業を学び 追い越したが、豊田はこの過程で、どのような役割を果たしたのか。

4、斜陽化したマンチェスターはその後どのように再生したか、先進国産業空洞化現象を我々はどう把握すべきか。


左 ロンドンにて  右 名工大同窓会総会にて

私は、このテーマを博物館創設コンセプトである「ものづくりの大切さ」と重ね合わせ考え続け、ひとつの論文に仕上げ、日本繊維機械学会誌(2007年 Vol60)に発表、私のHPにもリリースした。

論文は多くの方々から賛同の評価を頂き、2008年(平成20年)5月 名古屋工業大学同窓会総会にて、「マンチェスターの栄光と没落そして再生」と題し約1時間の講演をさせて頂き、名工大学長、同窓会理事長をはじめ多くの方々から多大なご好評を頂いた。


初めてのヨーロッパ旅行は、私の中で、「日本のものづくり」と重ね合わせ、考察は膨らみ、名工大同窓会総会での講演までに膨らんだが、今も、あの海外出張は貴重な体験だったと独り感慨に耽っている。

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