2008年4月 加納さんを中心とする絵の仲間7名でピレネー山脈の麓 秘境とも言われる村々を訪ね スケッチ紀行を楽しんだ。旅は全日快晴に恵まれ、中世ロマネスク建築の美しさを存分に楽しむことが出来た。
第1日はバルセロナ・海岸リゾートホテルを出発、第2日は中世石造りの橋を今も残すベサール、第3日は雪のピレネー山脈を峠越えソルトに至り・第4・5日は断崖絶壁の上に中世の城と街々をそのまま残すアルケサルで連泊、スケッチを楽しんだ。
第6日は巡礼の道、女王の橋で知られているプエンテ・デ・レイナを訪問。ここのホテルで初めて日本へ持参パソコンが通信可能となり早速連日300kmのドライブの模様を友人にメール。
第7・8日は、村の周囲を深い谷で囲むカラタナソルに連泊、城址や寂れた民宿の風景そして広大な田園など何枚も写生する。早朝は寒くて手袋が必要なのに、昼の強い日差しには頭がフラフラ、水を何杯も飲む。
第9・10日は、城を中心に絶壁にびっしりと家々がひしめくアルバラシンに連泊。道幅2mもないのに、両側には、5・6階建ての古い民家が建ちこめ、そんな町並みを何枚もスケッチする。
アルバラシンの街は、どこを歩いてもスケッチポイントになる。このスケッチを原画に帰国後20号の絵に描きなおしたが スケッチは、矢張り現地で座り込んで描いた一枚にこそ愛着を感ずる。
第11日は地中海に浮かぶペニスコラの古城をスケッチする。すでにスペインスケッチは20枚にも及ぶ。
第12日ペニスコラからバルセロナまでを高速道路で走る。今回のレンタカー走行距離計2500km、ドライバーは日本から同行した原氏。原氏は車の運転手、ツアーガイド兼スペイン語通訳の3役を果たす。氏はスペイン在住25年の経験を持ち、読書4700冊という驚異の読書家でもあり、豪快なタイプ。
第13日、バルセロナでは幾つもの世界遺産を見学、イスラム教とキリスト教の壮絶な激突の歴史を偲び、インカ帝国の富を収奪したスペイン帝国の残忍さを想起し、ファッシズムとの闘いに敗北した人民戦線の歴史を悲しみ、多くの芸術家がスペインの情熱を表現しようと挑戦した作品の数々を見つめ、スペインならではの感動を胸に、5月1日パリ経由で日本に帰国。全員スペイングルメですっかり太ってしまい、顔を見合わせて笑い出す。既成のツアー旅行なんかではとても味わえないスペイン料理の極上の美味しさにスペインを立ち去り難く思う。それにしてもどうしてスペイン人の御腹はあんなにでっかいのだろうか?
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スペイン・バルセロナ着ピレネーに向かう。地中海が見えた |
カタルーニア・橋のある街 |
スペインの橋はどこも絵になる。 |
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出かけたのは2008/4、ピレネー山脈には雪が残っていた |
加納さんはこの屋敷を描いて日展入選した |
地中海ペニスコラはフェニキア人到来から歴史あり |
大楠さん小川さん永井さん原さん永井さん加納さん |
旅の途中、寛ぐ加納サン |
クエンカの近くの川沿いの古都 |
ピレネー山脈近くの教会 |
ピレネー山脈には残雪が美しい |
セビリア近くの地中海が見える町 |
バルセロナ・建築中のガウディの塔 |
バルセロナにあるガウディが創った公園 |
アルバラシンの朝、小路の一角 |
イスラム遺跡が残る田舎の町 |
バルセロナのホテルにて西川尚武 |
生ハムを切る原さん |
第8話 旅スケッチ こぼれ話 スペインの太陽はまぶしかった
2008年から2013年まで連続4回スペイン訪問 計60日をかけてイベリア半島全域をスケッチ旅行した。
イベリア半島は、13世紀国土回復運動(レコンキスタ)によってイスラム勢力を追い出し17世紀スペイン帝国の繁栄を築いた歴史の宝庫。
運転手兼通訳の原氏はスペイン滞在24年放浪の経験を持ち東京から同行。原氏はいつも穴場のバールで旨い生ハムを紹介してくれスペイン料理をたっぷりと楽しむことも出来た。我ら絵の仲間男女7名は氏のおかげでスペイン全土をドライブ、海外スケッチ旅行の醍醐味を楽しんだ。
時にはアルタミラ洞窟探検やアルハンブラー宮殿散歩など観光も楽しんだが、旅行目的はスペインのロマネスク教会や、山の頂上に築かれた石造農家をスケッチすること。
スペインはどの町も絵になる。巡礼の道に8人がずらりとキャンバスを並べて描いていると、通りがかりの市民は「日本は今水害で大変じゃの」と声をかけてくれる。東北大震災の生々しいニュースは、スペインでも連日テレビをにぎわしていた。僕はノートパソコンSKYPEでせっせと息子とテレビ電話で震災の状況を把握し皆に伝えた。スペインの農民が祈り続けた古風なロマネスク教会こそ、スケッチ最大テーマ。加納氏はスペイン風景を描き上げ何度も日展に出品している。
レンタカー走行距離は毎回2000km。水彩スケッチはいつも30枚以上は描き上げ、帰国後これを油絵に仕上げた。僕も帰国後、スペインを20号の油絵を何枚か仕上げて皆さんに提供した。イベリア半島の太陽は連日まぶしかった。このまぶしさは現地スケッチでないと掴めない。旅は楽しい。絵を描くことはもっと楽しい。