定年後の読書ノートより
映画「無防備都市」を観て、福田静雄先生解説、於大地、2000/10/21
「イタリア映画を楽しむ会・第1回例会・ロッセリーニ監督・1945年度作品・Roma, Citta Aperta」104分上映に対し、福田先生の解説と準備頂いた参考資料8ページ、そして上映後には約1時間にわたる参加者全員との語らい。久しぶりに素晴らしい時間を楽しんだ。

この映画は、第2次世界大戦時、ドイツナチス軍のイタリア首都ローマ占領時における地下抵抗運動メンバとそれを取り巻く市民人間像をうたいあげた実話モデルをきっかけとした作品。

衝撃的な場面として印象に残るのは、地下抵抗運動指導者マンフレーディと神父のひたむきな使命感に燃えた人間像とナチスの残虐な拷問の数々、最後の場面は殺されていった地下抵抗運動英雄達のイキザマをじっと天国から見守るかの如き、サン・ピエトロ寺院の遠景。

上映後の語らいで最初に話題になったのは、この映画の主題はどこにあるかということ。最後の大写しサン・ピエトロ寺院に象徴される古きバチカン帝国、神に仕える神父と市民に襲いかかるナチス支配者達、ローマはバチカンなるが故に、歴史的に軍備を持たない都市であり、この都市で展開された抵抗運動が語るものは、ファッシズムと市民との対決のみならず、さらに同時に神と無神論者との対決でもあった。この映画のテーマとは抵抗運動の中で神を立体的にとらえたところに意味がある。

もしもこの映画を自分一人で見たとしたら、悪玉ナチスと善玉反ファッシズムという対決として観てしまう。そして戦争では善玉側に訪れた最後の悲劇、だから声を大にして叫ぼう、戦争反対をといういつもの筋書きで観てしまうだろ。しかしこうして多くの目でじっくりと映画を観ると、そこにはイタリア・ローマという歴史と文化を深く読み取り、神の存在をきちんと重く位置づけて映画を観ることが出来る。映画の背景にある、深み、重みをきちんと読み取ることが出来る映画の観方を教えて頂いた。こうして映画を皆で語り合っていくのは、有意義で、素晴らしい時間だと思う。

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