定年後の読書ノートより

画家たちの旅・スケッチノート、安野光雅、平松例二、松尾敏男等9名、NHK出版
好きな画家の作品を取り上げ、何故このスケッチに魅せられるか、考えたい。

平松礼二氏、「台湾 高雄港 ホテルの窓より」港の入り江に浮ぶ幾つかの船、水平線。

竹ペンを使って描いたのだろうか、線に強弱があり、画面のきっりとした感じが気持ちよい。海の青と船底の赤だけで、白残しが多いのが淡々とした感じを与える。中心に描き込んだ描写があり、上方の水平線が入り江の豊かな風景をゆったり感じさせる。

松尾敏男氏「パリ」パリバスチーユ広場近くより市の屋根を見渡す。右上にモンマルト。

縦のに引かれたスケッチの線がきれいだ。竹ペンだろうか、しまって見える。遠近法が実に正確。良く見て描いている。ホテルの窓からだろうか。使われているのは薄いオレンジと若干の屋根に薄いブルーをわずか。モンマルトの一画が、きちんと書き込んである。

田淵敏夫氏「黒四ダム」吹き出している水。水柱を囲むダムの曲線。

吹き出している水の勢い、ダムのがっちりとした基盤の確かさ、ここを中心にして、周囲は曲線と直線の簡単な線だけ。エンピツスケッチ。しかし水の勢いはすごい。

安野光雅氏「コッコウォールズ地方 ブロードウェーの近くの牧場」静かな田園風景。

強い線は何処にもない。田園の緑と森のネービスグレー。近景は濃く、遠景は薄く。空も淡く、ほとんど色を感じさせない。中央に農家の屋根4軒。窓がひっそり。麦畑を渡る風を感じさせる緑の濃淡。森を実感させる木々の大つかみな球形処理。

相笠昌義氏「クライスラービル」ニューヨーク街角より仰いだビルの尖った遠景

縦紙使い。1/5に地平線。縦1/3の位置に書き込まれた、尖ったクライスラービル。窓も建物の彫りも上部の曲線もこのビルは書き込まれている。あとのビルはおおつかみ。

車と信号待ちの人物は大雑把ではあるが、特徴は掴んでいる。空も大きく取り入れているので、ビルの高さがでている。

楢原健三氏「犬吠崎の灯台」エンピツ画、灯台と岬、それが松の間から見える。

線は一本でも真っ直ぐな線はない。みなそれぞれに曲線。伸び伸びしている。松も塊で捉えている。海岸線も、半島も歪んでいる。これらが総合して躍動感に繋がっている。

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